研究課題/領域番号 |
19200025
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研究機関 | 新潟大学 |
研究代表者 |
澁木 克栄 新潟大学, 脳研究所, 教授 (40146163)
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研究分担者 |
菱田 竜一 新潟大学, 脳研究所, 准教授 (90313551)
工藤 雅治 帝京大学, 医学部, 教授 (80153310)
岩里 琢治 理化学研究所, 脳科学総合研究センター, サブチームリーダー (00311332)
八木 健 大阪大学, 生命機能研究科, 教授 (10241241)
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キーワード | フラビン蛋白蛍光 / 経頭蓋イメージング / 聴覚野 / Tonotopic Map / 和音 / 不協和音 / 経験依存的可塑性 / 光不活化 |
研究概要 |
マウス大脳皮質の経頭蓋フラビン蛋白蛍光イメージングで聴覚野の音に対する応答を解析すると、音の高さに応じて応答する部位が異なるTonotopic Mapが確認された。20kHzの音と25kHzの音のように比較的簡単な周波数比で表せる和音を聞かせると、応答が5kHz(20kHzと25kHzの最大公約数)に対応する部位まで広がった。しかし、19kHz+26kHzのように簡単な比で表せない不協和音の場合は応答部位が低周波数側に広がる現象は生じなかった。我々は、聴覚野内の20kHzと25kHzに応ずるニューロン群が経験依存的に形成された皮質内結合を介して5kHzに相当する領域を駆動すると考えている。即ち、動物の鳴き声など自然界に存在する音は、基本周波数とその整数倍の周波数からなることが多いので、至適周波数が整数比で表される一連のニューロンは同期して発火する確率が高く、その結果として経験依存的な結合が形成され得る。この仮説を検証するため、20kHzと25kHzの聴覚野領域をフラビン蛋白の退色を利用して経頭蓋的に光不活化した。このとき5kHzを直接聞かせたときの聴覚野の応答は抑圧されないが、20kHzと25kHzの音を同時に聞かせたときの5kHzの脳部位の応答が消失した。この結果は皮質内神経回路によって5kHzの領域が駆動されていることを示唆している。さらに19kHz+26kHz+5kHzの混合音に曝して飼育したマウスでは、19kHz+26kHzの不協和音で5kHzの領域も応答するようになった。以上の結果から、同時に活動する聴覚野ニューロン間に経験依存的に皮質内回路が形成され、これを介して20kHz+25kHzの音によって5kHzの領域が駆動されたと思われる。
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