研究課題/領域番号 |
19200025
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研究機関 | 新潟大学 |
研究代表者 |
澁木 克栄 新潟大学, 脳研究所, 教授 (40146163)
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研究分担者 |
岩里 琢治 国立遺伝学研究所, 形質遺伝研究部門, 教授 (00311332)
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キーワード | フラビン蛋白蛍光 / 経頭蓋メージング / 聴覚野 / Tonotopic map / FM音 / 差分イメージング / マウス |
研究概要 |
自然界には、動物の鳴き声など、音の高さが変化する振動数変調(FM)音が多い。これらFM音を識別することは、動物にとって大きな意味を持つ。しかし聴覚野がFM音をどのように情報処理するかは良くわかっていない。本研究ではこの問題を解析するため、マウス大脳聴覚野活動を経頭蓋フラビン蛋白蛍光イメージングにより記録・解析した。純音に対する聴覚野の応答は一次聴覚野(Al)と前聴覚野(AAF)において周波数特異的なマップを示すことが知られている。FM音は高い音から低い音まで様々な高さの音を含むので、これを単に提示したのみでは、このAlとAAFのマップを含む聴覚野の広い領域が活性化されてしまう。そこで、特殊な刺激法を開発し、音の高さや強さを変化させずにFM変調の方向性のみを変化させた時の蛍光変化を記録し、聴覚野のどこがFM変調の方向性に応ずるのかを解析した。即ち一定の範囲で周波数が上昇する切れ切れのFM音を幾つか重ね合わせ、周波数毎の音圧がほぼ一定でありながらFM変調方向が上昇(下降)から下降(上昇)へとステップ状に変化する音刺激を与えた。このとき、AAFの内側かつAlの前方の限局した領域に蛍光応答を認めた。この領域はまた、FM音を提示したときに最も短い潜時で蛍光応答が出現する領域でもあった。このAAFの内側かつAlの前方の領域は、これまで超音波に特異的に応ずる部分であると言われてきたが、少なくとも我々が実験に用いたC57BL6系統のマウスのこの部分は超音波に対して明確な応答を示さなかった。従って、少なくともC57BL6系統のマウスではこの領域がFM音の処理に特化した領域である可能性がある。
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