研究課題
記憶・学習は神経活動に応じたシナプスの結合強度の増加や減少といった機能的なシナプスの変化により担われている。さらに長期的に持続する記憶は、シナプスの形態的変化を必要とすることが分かってきた。しかし、生体脳におけるシナプス形態的・機能的変化を支える分子的基盤については未だに不明な点が多い。私たちは、小脳顆粒細胞(平行線維)-プルキンエ細胞シナプスにおいて、シナプス前部から放出されるCbln1と、シナプス後部に発現するδ2型グルタミン酸受容体(δ2受容体)とが、成体小脳における機能的かつ形態的なシナプス可塑性に必須であることをこれまでに明らかにしてきた(Nature Neurosci 2005,J Neurosci 2008,2009等)。今年度にはCbln1こそがδ2受容体のリガンドであり(Science,2010)、シナプス間隙に放出されたCbln1はシナプス後部のδ2受容体とシナプス前部のNeurexin(Nrx)に結合し(Eur J Neurosci,,in press)、Nrx-Cbln1-GluD2の三者複合体がシナプス前部と後部にCa非依存的に作用するという概念を初めて確立することに成功した(Curr Opin Neurobiol,in press;Cerebellum 2010,Eur J Neurosci 2010)。最近になり、δ2受容体には神経活動依存的にグリア細胞から放出されるD-セリンが結合し、シナプス可塑性をさらに修飾することを発見した(Nature Neuroscie,in press)。
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Eur.J.Neurosci
巻: (印刷中)
Cerebellum
Science
巻: 328 ページ: 363-368
Eur J Neurosci
巻: 31 ページ: 1606-1615
Curr Opin Neurobiol
巻: 32 ページ: 191-197
http://web.sc.itc.keio.ac.jp/physiol/yuzaki/index.htm