目的に合わせて合理的に行動を制御するためには、目的を保持し、現在の目的に合わない習慣的行為を抑制し、現在の目的に合ったルールを適用して行為を選択し、行為の結果を目的に応じて評価するなどの一連の精神過程が必要である。このような目的指向的行動の制御には前頭前野が重要な機能を果たすことが脳損傷患者の心理学的研究(神経心理)により示唆されてきた。私達は、前頭前野の損傷患者の臨床検査として最も感度の高い課題のひとつであるウィスコンシンカード分類課題をサルに訓練することに成功し、前頭前野の部分破壊の課題遂行への影響を測定し、課題遂行中の前頭前野神経細胞活動を記録して成果を挙げてきた。本研究では、これらの研究を発展させ、破壊行動実験と神経細胞活動記録実験を組み合わせて、目的指向的行動における前頭前野の各部位の働きとそのメカニズムの理解を進める。 課題では、まずサンプル刺激が表れ、次にテスト刺激が3個表れる。サルは、サンプル刺激と同じ色、または同じ形のテスト刺激を選択しなければならない。マッチングのルールはブロックの中では一定であるが、正答率が85%に到達すると変更した。
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