研究課題/領域番号 |
19200029
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研究機関 | 群馬大学 |
研究代表者 |
白尾 智明 群馬大学, 大学院・医学系研究科, 教授 (20171043)
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研究分担者 |
関野 祐子 東京大学, 医科学研究所, 准教授 (70138866)
安田 浩樹 群馬大学, 大学院・医学系研究科, 准教授 (60294071)
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キーワード | シナプス形態形成 / アクチン / ドレブリン / 神経細胞培養 / 行動分析 / スパイカー / シナプス機能 |
研究概要 |
本研究は、「樹状突起スパイン内アクチン結合蛋白の量的・質的動態」と「神経伝達物質受容体や足場蛋白のシナプス後部への集積」との双方向性の制御を分子レベルで解析し、アクチンによるシナプス機能制御のメカニズムを明,らかにして、このメカニズムの破綻がもたらすシナプス機能不全及び高次脳機能障害を、遺伝子変換マウスを用いて解析することにより、当該メカニズムの高次脳機能における役割を明らかにすることを目的とする。 本年度はまず昨年に引き続き、ドレブリンアイソフォーム非変換マウス(DAKO)を用いて、高次脳機能解析および電気生理学的解析を行った。DAKOはcontextual memoryに障害があることが判った。また、一定の成熟過程で電気生理学的性質や水迷路試験で異常が認ちめられた。しかしながら、ニッスル染色による脳の層構造の異常やゴルジ染色による樹状突起スパイン数の顕著な差は認められなかった。但し、電子顕微鏡による解析で、パーフォレイテッドメパインの割合が高いことが示唆ざれた。さらに、AP5投与により急性に起こるNMDA受容体に関する恒常性維持可塑性が消失していることが判った。一方生化学的な解析では、今のところ他のスパイン機能蛋白の全能における発現量には顕著な変化は認められていない。しかしながら、通常ならば成熟脳ではドレブリンが可溶性画分からほとんど消失しているのに比較し、DAKOマウスでは半分程度のドレブリンは成熟脳でも幼若脳と同様に可溶性画分に回収されることが判った。一方、初代培養神経細胞の大型軸索成長円錐を用いた研究では、ドレブリン発現変化は軸索成長に影響を及ぼすことが判った。また、このドレブリンの関与する経路はミオシンIIの関与する経路の下流にある事が判った。
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