研究課題/領域番号 |
19200031
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研究機関 | 慶應義塾大学 |
研究代表者 |
仲嶋 一範 慶應義塾大学, 医学部, 教授 (90280734)
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研究分担者 |
榊原 康文 慶應義塾大学, 理工学部, 教授 (10287427)
田畑 秀典 慶應義塾大学, 医学部, 講師 (80301761)
佐々木 慎二 慶應義塾大学, 医学部, 助教 (10365439)
大石 康二 慶應義塾大学, 医学部, 助教 (80420818)
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キーワード | 大脳皮質 / 神経細胞移動 / 辺縁帯 / IPA / カルシウム / 樹状突起形成 |
研究概要 |
発生期大脳皮質の興奮性神経細胞の移動終了部位である辺縁帯直下では、移動停止の他、樹状突起形成、細胞凝集による層構造形成等の様々な重要なイベントが起こるが、その分子的制御機構については知見が乏しい。そこで本研究では、皮質形成時に辺縁帯直下で起こる一連のイベントを制御する分子群の候補として、辺縁帯直下において優位に強く発現する遺伝子群の同定を行なった。その結果、マウス胎生16.5日目と18.5日目の両方の時期で共通して辺縁帯直下に強く発現する遺伝子を多数同定し、発現様式によってそれらを分類した。次に、細胞移動終了のイベントが辺縁帯直下に限らず様々な皮質板部位で起こることが知られている複数の突然変異マウスでそれら遺伝子の発現を検討した。その結果、得られた遺伝子群は確かに細胞移動終了に関連したイベントに関わっていることが示唆された。さらに、上記のうち移動細胞側での発現様式が明瞭な28個の遺伝子についてIPA(Ingenuity Pathways Analysis)を用いた解析を行なった結果、これらはカルシウムを中心としたネットワークで有意に強く関連づけられることがわかった。また、予想通り樹状突起の形成を制御する分子も多数検出され、その一部はカルシウムによる制御が知られているものであった。また、辺縁帯から分泌され層形成を制御することが知られているリーリン分子によってカルシウムシグナルが増強される分子も同定された。以上の結果から、辺縁帯直下の神経細胞では、これらのシグナル経路が顕著に動いていることが示唆された。
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