(1)HApとColの階層的複合構造である生体皮質骨に生じた応力を非侵襲に測定する原理および手法の提案を目的とする。 (2)まず、HAp結晶格子ひずみをX線回折法で高精度に測定する。そしてこのナノレベルのひずみから皮質骨の特有な階層的複合構造特性を考慮した組織レベルのマクロひずみを推定する。 (3)測定精度を検証するため、HAp結晶の変形状態のみではなく、基質であるColの超高分子状態の変形特性を測定する必要がある。中性子散乱法を用いて、Colのミクロ変形と組織ひずみの関係を求める。 (4)これらのことにより構成要素のHApおよびColと骨組織ひずみとの関係を表現する数理モデルを提案する。 (5)このモデルを用いれば、HApひずみのみから骨組織ひずみが高精度に推定できる。次に組織ひずみから異方性組織応力を算出する構成式を作る。 (6)また回折X線画像から照射位置の平面(二次元)ひずみ成分を算出する手法を考案する。 (7)これらの目標を達成するための実験装置は非常に重要である。X線回折装置を改良し、回折画像も検出できる方法を考案する。
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