研究概要 |
計画初年度である平成19年度は,計測システムの立ち上げ,計測対象となる細胞系の構築手法確立を目標に研究を進めた。計測システムについては,神経活動の長時間連続計測が可能なシステムを新規導入し,培養環境下で計測が可能な系,画像取得との同時計測が可能な系と合わせて3件の計測を並行して実施できる実験系とした。細胞系は,心筋細胞,P19細胞の培養条件に関する検討を詳細に行った。新生ラットから取得した心室筋細胞を上頸神経節細胞と共培養する条件を確立した。心筋細胞が培養系において発達段階に依存した自発活動変化を示すことを確認し,この自発活動の再現性確保において培養液交換の条件が重要な役割を果たすことを見出した。さらに,培養基板底面の集積化電極を通じて電気刺激を行うことにより,自発活動周期の制御が可能であることを明らかにした。自発活動の見られない試料についても電気刺激により拍動が誘起され,これが刺激終了後も持続することを確かめた。P19については,心筋細胞,神経細胞に分化させる実験条件を確立した。心筋細胞に分化した細胞については自発同期拍動を生じることが確かめられ,神経細胞に分化した細胞については,自発活動,細胞内Caイオン濃度変化の両者において,中枢神経初代培養系と類似した活動を計測可能であることを確認した。
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