研究課題/領域番号 |
19200037
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研究機関 | 岡山大学 |
研究代表者 |
成瀬 恵治 岡山大学, 大学院・医歯薬学総合研究科, 教授 (40252233)
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研究分担者 |
毛利 聡 岡山大学, 大学院・医歯薬学総合研究科, 講師 (00294413)
大江 透 岡山大学, 大学院・医歯薬学総合研究科, 教授 (70263556)
草野 研吾 岡山大学, 大学院・医歯薬学総合研究科, 准教授 (60314689)
松井 秀樹 岡山大学, 大学院・医歯薬学総合研究科, 教授 (30157234)
富澤 一仁 岡山大学, 大学院・医歯薬学総合研究科, 准教授 (40274287)
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キーワード | 心筋細胞 / Ca2+ハンドリング / 心機能 / Ca2+オーバーロード / 心肥大 / 心不全 / 大動脈結窄モデル / Na+ / Ca2+交換体 |
研究概要 |
近年、肥大の分子メカニズムが解明されつつあるが、臨床的に経験される肥大は、心負荷の機械的・時間的特性に依存した多様な応答であり、一元的な現象ではない。顕著な具体例として圧負荷と容量負荷があり、前者として大動脈弁狭窄症の求心性肥大が、後者として大動脈弁閉鎖不全症の左室内腔拡大が挙げられる。両者とも心筋量は増大し、心肥大による合目的な生理的代償機構と認識されているが、全く異なる左室形態形成メカニズムは明らかになっていない。圧負荷と容量負荷の相違点として機械的要素の他に、心室に高い壁張力を生じさせる時間的要素が挙げられる。圧負荷の増加は心筋細胞内カルシウム濃度の高い収縮期に高い壁張力を生じ、容量負荷は心筋細胞からカルシウムが排出されている拡張期に機械的刺激を増大させる。このような異なる負荷に対する心筋細胞応答の分子メカニズムは全く不明である。 我々は、「肥大発症様式が異なれば、心臓そのものにかかる機械的負荷が異なるために、同じ肥大でも分子応答機構は全く異なる。このような異なる機械負荷状況下においては、当然そこで働く細胞内シグナル伝達経路が変わってくるため、そこで働くCa2+輸送体の活性制御メカニズムにも違いが生じている。このことが、その後の心不全進行速度・悪化度合いを決定する因子となるのではないか。」と考えている。本年度は、圧負荷や容量負荷のような、機械的負荷の様式の異なるモデル動物において、これらの肥大メディエーターであるカルシニューリンの作用におおきな影響力を持つCa2+輸送体の分子修飾状況を詳細に検討した。このことにより、トランスジェニックマウスの研究からでは一見同化であるとみなされている肥大という現象を、分子レベルで違うものと区別することを試みた。今後、このような違いを生み出す分子経路を明らかにすることにより、実際の臨床に即した新規治療ターゲット分子・治療研究対象をクローズアップすることが可能となるだろう。
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