研究課題
当研究室で開発された炭酸アパタイト系ナノキャリアによるmRNA・siRNA・DNA・タンパク質の細胞内デリバリーシステムが高い生理活性/遺伝子発現効率を示す要因を解明するため、我々は遺伝子等のバイオ高分子の結合した炭酸アパタイト系ナノキャリア粒子が細胞表面に結合した後に、エンドサイトーシスによって細胞に取り込まれる過程に着目し、解析を行った。その結果、我々の遺伝子導入キャリアは、エンドサイトーシスの一種であるマクロピノサイトーシスという機構で細胞内に取り込まれていることおよびその経路ゆえにPH変化にすばやく応答したナノキャリアーの崩壊と遺伝子の分解が回避された事が確認された。また、本導入手法を用いて癌をはじめとする多くの疾患で大きな期待が寄せられている手法であるsiRNAを腫瘍細胞に導入し、本手法の有効性を確認した。さらに制ガン剤である、ドキソルビシン(DOX)を炭酸アパタイトナノ粒子に封入しSW480やNIH-OVCAR等の各種株化ガン細胞へのDDS効果を検討しフリーのDOX投与に比べ7〜10倍の高い細胞殺傷効果があることを見出した。さらに透過型電子顕微鏡を用いてウシ血清アルブミン(BSA)と炭酸アパタイトとの複合体粒子の観察を行ったところ、複合体粒子が球状の形態を示すことが確認された。また、複合体粒子をpH6.0の酸性緩衝液に1分間浸漬するだけで粒子が溶解を始め、崩壊していく様子も確認することができた。この結果は、炭酸アパタイト粒子の酸性環境への応答性の高さを示している。また、本手法によるタンパク質の細胞内導入の効率を、フローサイトメーターを用いて評価したところ、投与後2時間で過半数の細胞にタンパク質が導入され、4時間後には90%以上の細胞にタンパク質が導入されることが確認され、本手法が非常に高い細胞内導入効率を示すことが確認された。
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