研究課題/領域番号 |
19200045
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研究機関 | 日本体育大学 |
研究代表者 |
高橋 健夫 日本体育大学, 体育学部, 教授 (60029725)
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研究分担者 |
岡出 美則 筑波大学, 人間総合科学研究科, 教授 (60169125)
吉永 武史 早稲田大学, スポーツ科学学術院, 講師 (10386659)
本村 清人 東京女子体育大学, 体育学部, 教授 (50349784)
岩田 靖 信州大学, 教育学部, 教授 (60213295)
吉野 聡 茨城大学, 教育学部, 准教授 (10334004)
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キーワード | 体育のナショナルスタンダード / 諸外国の学習指導要領 / 体育科の指導内容の構造 / 指導内容の達成度調査 / 授業成果の学校間格差 / 介入実験授業 / 成果志向の体育授業 |
研究概要 |
本研究では、体育科のナショナルスタンダード(指導目標・内容)の構築に向けて、(1)アメリカ、ドイツ、イギリス、オーストラリア、韓国などの国際的な学習指導要領の動向を分析した。その結果、先導的な役割を果たしてきたアメリカのナショナルスタンダードが最も明確で具体的な指導内容を提示し、それらの達成度を評価するための努力が払われていることがわかった。 (2)諸外国の考え方を参考にして、体育科の指導目標・内容の構造(価値的態度、身体能力、態度、思考・判断、知識)を設定し、小・中学校段階の各運動種目に関わった具体的な指導内容を提示した。この作業は、中央教育審議会の「健やかな体」専門部会や学習指導要領の作成協力者の会議と連携して進められた。その成果は、学習指導要領(解説)にも反映されている。 (3)21年度には、これらの指導目標・内容が、体育授業実践を通して、どの程度達成されているのかを明らかにするために、器械運動、水泳、柔道などを対象にした調査研究を行った。その結果、例えば器械運動の場合、跳び箱やマット運動では基本技の達成率はおおむね70%の標準をクリアーできているが、発展技の達成率は極め低かった。特に鉄棒運動については基本技を含めてほとんど標準が達成できていなかった。また授業成果の学校間格差や学級間格差が顕著であった。くわえて、小学校と中学の基本技や発展技の達成率を比較した結果、ほとんど変化していない事実が明らかになった。 (4)昨年度に引き続き、学習内容の確かな習得に向けて指導計画を設計して介入実験授業を試みたが、その結果、適切な学習指導を行えば、学習指導要領(解説)に例示された内容は、間違いなく70%の標準をクリアーできることがわかった。 以上のことから、学習指導要領(解説)に示された内容はナショナルスタンダードとしておおむね適切であると判断した。重要な問題は小・中学校での体育授業への取り組みにあり、成果志向の体育授業(outcome based P.E instruction)の実現が求められる。また、3年間の研究を総括し、報告書(499頁)を刊行した。
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