研究概要 |
1.油圧式マシン+認知機能改善システムの実施可能性の検証 本システムを用い,週1回以上、6週間以上の実施を計14名に対して実施した結果,認知機能の指標である注意力に関しては70点から94点に有意に増加し(p=0.001),筋力についても11,6kgから12,4kgに増加していた(p=0.242)。途中で脱落したものはなく,また有害事象も特にみられなかったことから,本システムの実施可能性が確認された。 2.虚弱高齢者の精神的健康の向上を目指したリハビリテーションアプローチの検討 認知機能障害を有する高齢者の整容動作に対して介入を行い,その動作遂行能力の向上が抑うつ状態の程度,認知機能,QOLに与える影響について無作為化比較試験により検討した。対象は,認知障害を有する65歳以上の高齢者50名で,対照群(25名)には通常のリハビリテーションプログラムを,介入群(25名)にはそれに加え整容動作プログラムを実施した。その結果,介入終了直後から6週間後にかけて,整容動作を含む日常生活動作能力,抑うつ,認知機能,QOLのすべての評価尺度の得点変化において両群間に有意な差が認められた。本結果より,対象者の整容動作能力の向上は抑うつ状態,認知機能,QOLの改善をもたらすことが示唆された。 3.筋力測定装置ならびに近赤外線酸素モニタ装置の検証 筋力測定装置に関しては,健常者を対象とした実践,本領域の専門家たちとの検討会などを通して,本装置を虚弱高齢者に対しても有効に利用できることが確認された。ただし実施に際しては,座位位置などの配慮が必要であることが明らかとなり,また筋力測定のみならず,日常生活動作の評価も必要であると考えられたため,ワークシュミレーションセットを追加購入した。近赤外線酸素モニタ装置に関しては,本装置を使用して運動後の脳機能を測定した研究報告を,2008年4月5-9日にSan Diegoで開催されるExperimental Biology 2008で発表する予定である。 次年度は,本年度の結果に基づいた介入研究を進めていく。
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