研究概要 |
(1)認知機能障害改善システムの有効性の検討 デイケアサービスを利用している虚弱高齢者を油圧式マシン+認知機能障害改善システム実施群,自転車エルゴメーター+認知機能障害改善システム実施群,両者を組み合わせたシステム実施群の3群に割付けした後,それぞれの群に対して平成19年度の研究で作成された実施プログラムに沿ってトレーニングを実施することを開始した。実施の前後で筋力,運動機能,ADL,認知機能,感情状態を測定し,システムの有効性を客観的・科学的手法を用いて検証していく予定である。 (2)認知機能障害改善システムの脳機能への影響に関する検討 認知機能障害改善システムが脳機能にどのような影響を及ぼすかを検討するために,自転車エルゴメーター+認知機能障害改善システムを実施した場合と自転車エルゴメーターのみを実施した場合について,脳機能がどのように変化するかについて検討を行った。評価にあたっては,近赤外線酸素モニタ装置(浜松ホトニクス株式会社,NIRO-2000)を用い,脳局所の酸素化ヘモグロビンおよび脱酸素化ヘモグロビンの濃度をリアルタイムで計測した。虚弱高齢者21名(男性11名,女性10名,平均年齢69,9歳)に対して,「自転車エルゴメーター+認知機能障害改善システム」および「自転車エルゴメーターのみ」を共に実施し,経時的に脳局所の酸素化ヘモグロビンおよび脱酸素化ヘモグロビンの濃度を追っていった。その結果,「自転車エルゴメーターのみ」の場合にはヘモグロビン濃度は開始5分後より徐々に上昇を始めたのに対し,「自転車エルゴメーター+認知機能障害改善システム」を実施した場合には,開始直後よりヘモグロビン濃度の上昇が認められ,認知機能障害改善システムの脳機能に対する有効性が示唆された。 次年度は引き続き,本年度に開始した上記介入研究を進めていく。
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