研究概要 |
内臓脂肪型肥満を有する日本人の男女において、体脂肪分布と全身のインスリン抵抗性の関係について調査を行った。その結果、CTを用いた内臓脂肪、皮下脂肪、骨格筋内脂肪は性別、体脂肪量の影響を調節した結果、有意な関係が認められなかった。しかしながら、肝臓内脂肪は、性別、体脂肪量もしくは内臓脂肪と独立して全身のインスリン抵抗性と関連している可能性が示唆された。 またメタボリックシンドローム患者を対象として運動トレーニングが認知機能に及ぼす影響を検討するために運動群7名(男性4名,女性3名,52±17歳)、観察群11名(男性2名,女性9名,54±9歳)を対象に研究を行った。その結果、複数の情報を平行して処理する能力を評価するDual課題のうち、行動の決断や抑制を評価するGo No-Go課題が運動群で有意に向上した。 心音から運動中の身体の変化を予測する研究では、心室から駆出される血液の逆流を防ぐことで生じる大動脈・肺動脈弁の閉鎖音である第二心音振幅(AHS2)と血圧の関連性を明からにすることを目的に、27~73歳の有疾患者男女を対象に、運動負荷中の心音を連続的に測定した。その結果、運動負荷の漸増に伴うAHS2と収縮期血圧、並びに平均血圧の間に有意な相関関係が認められた。運動中のAHS2の変化は血圧変動の指標になりうる可能性が示唆された。 骨格筋のエネルギー代謝を効率良く向上させる運動条件の調査については、骨格筋のグリコーゲンを減少させた状態でトレーニングを実施することで、骨格筋内のエネルギー代謝関連の遺伝子・タンパク発現を、より増加させるとの報告をもとに、骨格筋のグリコーゲンを効率良く減少させる運動条件を検討した。その結果、30秒間の高強度運動の間に積極的休養を入れることで、筋グリコーゲンをより減少させることができることを示した。
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