研究課題/領域番号 |
19200056
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研究機関 | 国立民族学博物館 |
研究代表者 |
園田 直子 国立民族学博物館, 文化資源研究センター, 教授 (50236155)
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研究分担者 |
日高 真吾 国立民族学博物館, 文化資源研究センター, 准教授 (40270772)
岡山 隆之 東京農工大学, 大学院・共生科学技術研究院, 教授 (70134799)
大谷 肇 名古屋工業大学, 工学研究科, 教授 (50176921)
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キーワード | 酸性紙 / 劣化度評価 / ローリングテスト / 物性試験 / 熱分解分析法 / 強化処理 / 脱酸性化 / 図書・文書資料 |
研究概要 |
本研究チームで開発した紙の非破壊劣化度評価法の確立をめざし手法の改良に取組むとともに、セルロース誘導体による強化処理の有効性の検証をさらに進めた。 具体的には、強化剤としてのセルロース誘導体の絞り込みを目的とした第一段階の実験を、人工的に異なるレベルに劣化させたサンプル紙を作成し実施した。強化剤塗布前後のサンプル紙の劣化度(強化処理の有効性の確認)、強化処理後のサンプル紙の加速劣化前後の劣化度(強化処理の劣化抑制効果の確認)を、(1)ローリングテスト、(2)アコースティック・エミッション、(3)熱分解分析法の各劣化度評価法を用いて比較検証した。劣化度評価法相互、そして従来の物性試験および官能評価との相関を検証し、セルロース誘導体による強化処理では、どの程度の劣化度までの紙であれば充分に紙力が回復できるかの指針をみいだす最終実験の条件設定に結びついた。この最終実験は、来年度に予定している。セルロース誘導体による強化処理の原理は「硫酸アルミニウムを含む紙を保存するための紙の強化方法及びそのための処理液」として、2008年8月8日、特許第4164571号に確定した。 国内外の学会や学界誌では、引き続き積極的に成果発表を続けた。2008年9月の英国、インドでの研究交流に続き、10月には韓国(ソウル、東国大学校)で紙の保存・修復に関する日韓共同会議を共催し3件の研究発表を行うとともに、翌3月には英国(ロンドン、大英図書館)で発表を行った。これらの研究交流や成果発表を通じて、国内のみならず国外の研究者と、紙の強化処理及び劣化度判定に関する研究成果を共有することができた。
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