研究課題
本年度行った科研費にかかわる研究実績は、以下のようである。(1)韓国金海ヘヒョンニ(Kimhae Hehyon-ni) 貝塚出土の動物遺存体の研究、(2)中国浙江省田螺山(Tinlou-shan)遺跡出土の動物遺存体の研究、(3)アメリカ合衆国、ワシントン州ピュージェット・サウンド・コミュニティー・カレッジでデール・クロース(Dale Croes)が行う、オレゴン州サンケン・ビレッジ(Sunken Village)遺跡の発掘に参加し、そこから出土した動植物遺存体の研究、(4)2008年8月、カナダ・バンクーバーで開催されたアメリカ考古学会において、デール・クロースと共同で縄文文化と北米北西海岸先史文化の比較シンポジウムを主催し、丸山真史とともに東名遺跡の発掘成果を発表、さらにネブラスカ大学リンカーン校のピーター・ブリード(Peter Bleed)と縄文文化のニッチェ理論について発表、(5)2007年7月に中国河南省で開催された "International Conference of Zooarchaeology" において、松井と富岡が参加し、松井が骨角器の加工痕跡に関する研究発表などを行った。(1)は松井、丸山が慶南考古学研究所に出向くだけでなく、2007年12月〜2008年2月まで、同研究所研究員チョン・テジョンを奈文研に受け入れ、同定および分析法の研修を行った。出土遺物の整理を進める過程で、紀元前1世紀の層からすでに牛馬が存在することを確かめることができた。本貝塚の分析の成果は日本の弥生時代の家畜の移入にも重要なデータとなるだろう。(2)は、金沢大学中村慎一の科研を主とし、中国南部、新石器時代初期河姆渡文化の農耕家畜の起源を知る上で重要な遺跡である。(3)および(4)の北米考古学との共同研究は、東アジア世界の動植物利用の特質を明らかにするために必要な比較研究である。
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考古学研究 216
ページ: 120-123
季刊考古学 100
ページ: 32-35