研究課題
合同報告会を開催し、分担者および若手協力者と議論を交わした。4つの共同研究課題について概要を記す。(1) 大気海洋相互作用と雲分布の解析(池田、渡部、見延)海面上の大気境界層は水温の影響を強く受け、特に黒潮のように中規模変動のあるところでは、その影響が総観規模擾乱にも現れる。これを高解像度大気大循環モデルによって調べた結果、海面水温の偏差がある海域を大気擾乱が通過する時、水蒸気は正味でより多く放出されており、潜熱放出が大気擾乱をより長く維持する。そのため大循環場が強められることが示唆された。(2) 高解像度海洋モデルによる海洋現象解明(笹井、見延、池田)海氷海洋モデルをオホーツク海と南大洋のシミュレーションに用いたところ、オホーツク海では千島列島の海峡で交換する海水が準定常状態の熱バランスに決定的な役割を持っていることがわかった。南大洋では低緯度側から混合する海水が、海氷の融解に伴って低塩化し、中層水の起源の一部として再び低緯度に拡がり、大西洋で特に重要であることが示された。(3) 北極海化学データの解析による物理・生物化学プロセス(渡辺、池田)北極海化学データセットの解析を深化させ、ケイ素に加えて溶存酸素の分布も合わせた結果として、表層においては太平洋起源の海水がカナダ海盆をほとんど占めているのに対し、深層では大西洋起源の海水が反時計周りに侵入していることがわかった。また大気変動に応答して、太平洋側と大西洋側の間でシーソーのように海水が移動し、海氷もほぼ同時に移動するため、海氷に数年周期の多寡が両端で現れることを示した。(4) 陸面と大気の相互作用(杉本、渡部、見延)東シベリアは降水量が300mm度で乾燥した地域である。そこのタイガ林において大気と降水の中の水蒸気同位体を計測したところ、降水は西側から運ばれてきた水蒸気と、森林から蒸散する水蒸気の混合したものであることがわかった。すなわち森林を含む陸域の水循環が重要な役割を果たしている。
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