研究課題
極域の大気と海洋のそれぞれにおいて、気候変動に重要となるプロセスを解明するだけでなく、大気と海洋の相互作用、地球化学の要素、さらには陸面の植生まで含めた極域全体のシステムが、如何に機能しているかを調べた。大局的視点からのまとめを2009年11月の北海道大学サステイナビリティ・シンポジウムで取り上げた。以下に、4つの共同研究課題について成果を記す。(1)大気海洋相互作用と雲分布の解析太平洋域の海面高度データを解析し、1960年代後半と1997年前後に海面が高くなり、北極海から大西洋に海氷と海水が流出した時期と一致していることを示した。(2)高解像度海洋モデルによる海洋現象解明渦追跡や水塊形成に焦点を当てたモデルとデータの解析を試み、南大洋のトレーサー実験によって表層水のもぐりこみを示した。フロンデータの分布を海氷海洋モデルの結果と比べると、氷縁域の表層水収束が明確に見えた。(3)北極海化学データの解析による物理・生物化学プロセス北極海化学データセットの解析を行い、表層においては太平洋起源の海水がカナダ海盆をほとんど占めているのに対し、深層では大西洋起源の海水が反時計周りに侵入していることがわかった。(4)陸面と大気の相互作用凍土融解、積雪分布変化、植生変化などの進む原因、およびそれらの大気への影響を調べるため、水蒸気の再解析データと同位体分析を行った。水循環と炭素循環は生態系による影響を受け、夏に雨が多いと翌年の土壌水分が高くなるが、カラマツの蒸散が活発になって土壌から水を大気に出すことがわかった。
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