研究課題/領域番号 |
19201002
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研究機関 | 筑波大学 |
研究代表者 |
鞠子 茂 筑波大学, 大学院・生命環境科学研究科, 准教授 (10251018)
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研究分担者 |
横沢 正幸 独立行政法人農業環境技術研究所, 大気環境解析領域, 主任研究員 (80354124)
大塚 俊之 茨城大学, 理学部, 准教授 (90272351)
田村 憲司 筑波大学, 大学院・生命環境科学研究科, 准教授 (70211373)
廣田 充 筑波大学, 大学院・生命環境科学研究科, 準研究員 (90391151)
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キーワード | 植生遷移モデル / 生態系炭素循環 / 炭素貯留機能 / 土壌有機炭素 / 二次遷移 / 二酸化炭素 / 炭素管理 / クロノシーケンス研究 |
研究概要 |
筑波大学菅平高原実験センター内および周辺の生態系を対象として、二次遷移の段階ごとに土壌を中心とした炭素循環調査を行った。その結果、遷移に伴って土壌炭素量の変化がみられることが明らかとなった。遷移段階を大きく草本期と木本期(今年度は初期段階の森林が対象)に分けた場合、土壌炭素量が大きいのは草本期においてであった。得られた知見を総合的に考察したところ、草本期から木本期へ移行する際の純一次生産量(植物の光合成生産量から呼吸消費量を差し引いた量)の分配率が大きく変化するためと推察された。つまり、純一次生産がそのまま植物体に多く残存する(木部の成長)のが木本期の生態系の特徴であるが、生育期間の終わりに地上部と地下部の一部が枯死する草本期の生態系ではその分土壌へ分配される割合が多くなる。そのため、木本期の土壌炭素量は草本期よりも減少すると考えられた。しかし、木本期の生態系、すなわち森林は初期の森林から極相林まで数段階に分けられるので、木本期すべての森林で炭素が減少し続けるのかどうかを今後確認する必要がある。もし、極相林に向かうにつれて再び土壌炭素が増加する傾向にあれば、森林は遷移に伴って持続的に炭素を蓄積し続ける能力があると考えることができる。来年度以降には、そうした点に着目して研究を進めていく予定である。また、土壌以外の炭素の蓄積場所として最近注目されている未分解大型リター(主として植物体の茎の部分を指し、木本植物であれば枝や幹に相当する)に蓄積された炭素量の正確な推定を行って、これまで未解明であった炭素プールが生態系炭素貯留能力にどの程度寄与しているのかを明らかにする予定である。これによって、森林生態系の持続的炭素貯留能力の新たな可能性について検討したいと考えている。
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