研究分担者 |
横山 祐典 東京大学, 大学院・理学系研究科, 講師 (10359648)
笹 公和 筑波大学, 数理物質科学研究科, 講師 (20312796)
堀内 一穂 弘前大学, 大学院・理工学研究科, 助教 (00344614)
村松 康行 学習院大学, 理学部, 教授 (70166304)
柴田 康行 国立環境研究所, 化学環境研究領域, 領域長 (80154251)
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研究概要 |
平成19年度は,東京大学および筑波大学の加速器質量分析システムを利用し,計1,000サンプルにも及ぶ^<10>Be,^<26>AI,^<36>Clのデータを取得し,以下のような知見を得た: 1.^<10>Beの分析 1)歴史時代の太陽活動極小期として有名なマウンダー極小期とその周辺を対象に,単年分解能での^<10>Beの分析を行い,Schwabeサイクルに相当する^<10>Be濃度の変動周期を見出した。 2)1万8千5百年前から1万5百年前を対象に10〜20年の時間分解能で^<10>Beの分析を行い,^<10>Beフラックスの変動は大局的にはグリーンランドアイスコアと同様であることを見出した。 3)4万年前の年代に相当するドームふじ第一期深層コアの深度700〜850mについて,約40試料の^<10>Be分析を行い,バックグラウンドの2倍程度の明瞭な^<10>Beピークが,ほぼ期待される深度(790m付近)および形状で検出された。 4)Termination IIのスタートからMIS5e(およそ14万年前からおよそ12万年前)にかけて,数10年分解能での^<10>Be分析を行った結果,この時代の^<10>Beフラックス変動が,地球磁場強度変動と太陽活動の二つの要素のみで説明できる可能性が示された。 5)50cm毎に採取された2400m以深のSaw dust試料を対象に,これまでに計300試料の^<10>Be分析を行い,50万年前から72万年前の^<10>Beフラックスと,海底堆積物から復元された地球磁場強度変動との相関関係を見出した。 2.^<36>Clの分析 2,400m以深(MIS8以前)の層準の^<36>Cl分析を行い,氷床コア中の^<36>Clフラックスは,年代軸に対して^<36>Cl(半減期30万年)の放射壊変減衰の理論曲線と調和的であることを確認した。 3.^<26>Alの分析 最終氷期最盛期(MIS2)以降で,^<26>Al/^<10>Be比が1.7×10^-3の一定した値を示すことを見出し,これが^<26>Al/^<10>Be年代決定の初期比として利用できる可能性が示唆された。
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