研究課題
微生物ガス代謝におけるN_2O、CH_4および硫黄化合物のアイソトポマー分別を求め、分別係数と環境変数の関係の関数化を目指し研究を行った。本年度の主な結果を2つ以下に示す。まずN_2Oに関しては、アンモニア酸化菌N.oceaniおよび脱窒菌P.aureofaciensについて種々の条件下で純粋培養を行い、生成するN_2Oのアイソトポマー比を調べた。N.oceaniが生成するN_2Oの平均窒素同位体比と分子内^<15>N分布は酸素濃度に依存し、低酸素条件ではNH_3から生成したNO_2^-からN_2Oが生成し、高酸素条件ではNO_2^-の前駆物質であるヒドロキシルアミン(NH_2OH)から生成したものと考えられた。P.aureofaciensが生成するN_2OのSP値はこれまでに報告されている他の菌とくらべて約5‰低い値を示し、脱窒過程の寄与率の推定においては菌種によるSP値の変動幅を考慮する必要があることが明らかになった。CH_4に関しては、東京都浮間水再生センターの嫌気槽・無酸素槽・好気槽、反応槽前後、および返送汚泥の表層・中層・深層からそれぞれ水試料を採取し溶存CH_4の濃度・δ^<13>C_<CH4>値測定を行い、下水処理場で発生するCH_4の各処理槽における環境が同位体比に与える影響を解析した。CH_4は反応槽を通じて概ね濃度は減少し、δ^<13>C_<CH4>値は上昇傾向となった。このことから、CH_4は3次処理槽を通じて酸化されているのがわかった。しかし、反応槽後の第二沈殿地および塩素処理槽ではメタン濃度が上昇しδ^<13>C_<CH4>値は減少した。これは、この二点においてCH_4生成が生じていることだと考えられ、放流水のCH_4濃度は大気平衡よりも高く放出している可能性を示唆している。このことから下水処理場が大気への直接的なCH_4の排出ではないが、河川への間接的な排出をしている可能性が示唆された。
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