研究課題
(1) 昨年度実施した現地調査により、降水量と土壌水分量変化との相関観測をもとにして、降雨量と雨水の浸透深との関係を得ることができた。その結果、その関係には降雨強度はあまり影響がなかったが、土壌の違いが顕著に表れているため、今後は土壌の異なる場所による比較に力を入れる予定である。また、档案資料は日日データであるが、その時間分解能での解析は困難であり、やや時間スケールの長い解析が必要であること、またその場合は十分意味がある結果になること等が判明した。(2) 上記の結果などをインドで開催された国際学会「8th IAHS Scientific Assembly and 37th IAH Congress」やデンマークでの「World Congress of Environmental History 2009」、国内の水文・水資源学会などで発表した。(3) また、復元結果と対応させるための氷コア解析を進め、出版発表した。(4) さらに、まだ降水量に変換されてはいないが、浸透深データと関連させつつ、対象流域を中心とする歴史復元研究を進め、その成果を国内外の学会等で発表するとともに出版公表した。(5) 2010年の8月に現地調査を行い、黒河流域、現地の研究者に依頼していた、降水量と土壌水浸透深との観測結果を回収するとともに、黒河中流域に特定の区域を設定して、地下水や河川水、降水等の水試料を採取して、今後その同位体解析を実施して水循環過程の解明を行うために我が国に搬入した。(6) 档案資料の時期に対応する清代における災害資料(特に旱魃の記録)を整理して年表を作成し、梢案資料による降水量変動復元の後に対比を行うための準備を整えた。この年表は流域の環境史に係る本の一部として出版予定である。
すべて 2010 2009
すべて 雑誌論文 (7件) (うち査読あり 4件) 学会発表 (4件)
東アジア文化交渉研究
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