研究概要 |
本年度の研究は3つの方向にまとめられる。第1は都市形成に関する理論的研究である。これは平面上の都市を想定し,偏微分方程式を用いて,どのような形態の都市が形成されるのかを考察した。第2は三遠地域(愛知県東部と静岡県西部)を対象として,経済-交通-環境モデルを構築した。このモデルにより,対象地域での道路整備により,どのような経済便益が発生するのか,またCO_2,NO_x,SO_x,浮遊粉塵などの環境負荷変化をシミュレーションした。第3は対象地域の拡大を目指した新たなモデル概念の考察とデータ収集である。本年度のモデルでは財市場,労働市場が均衡しておらず,正確な便益が計測できているわけではない。財市場,労働市場,土地市場が均衡するような新たなモデル概念を構築することができた。また対象地域としては名古屋市の影響も考慮できるように,拡大する予定である。そのため愛知県,静岡県,長野県について町丁目別に人口,産業別従業者数,土地利用,環境負荷原単位をGIS上で整備した。本年度は初年度にもかかわらず,交通を考慮した総合的環境評価モデルの成果を出せたことの意義は大きい。
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