研究概要 |
2ヶ月令で3.8Gy照射後16ヶ月を経て18ヶ月令になったマウスの脾臓での染色体異常は増加していたがカロリー制限による抑制効果はみられなかった。ただし、これらのマウスの一部に肝臓と脾臓で腫瘍がみられたので、このマウスを用いると腫瘍での変化を見てしまう恐れがあると考えてそれ以上の解析を止め、新たに肝腫瘍誘発効果がより高くなることが分かっている生後7日令での照射を行い、腫瘍発生のまだみられない12ヶ月令でのmRNAの変化を解析し、放射線の効果とそれに対するカロリー制限の効果を調べた。その結果、照射された6個体で共通に有意な変化を示す遺伝子としてCyp2c39,Mfsd2,Dusp6,Pfkfb3,Cd36,Ints6を見出した。この変化はRT-PCRを用いた解析でも確認できた。これらのうちMfsd2,Pfkfb3,Ints6の遺伝子は2ヶ月令で照射したマウスでも変化していた。他の3つの遺伝子の変化は個体差が大きかった。さらにこれらの遺伝子発現変化についてのカロリー制限の影響を調べた所Cyp2c39,Mfsd2,Cd36では変化の増強が見られ、Dusp6,Pfkfb3では影響がなく、Ints6では抑制効果がみられた。これらの結果からInts6遺伝子の発現変化が放射線の影響とカロリー制限によるその抑制効果を説明し得ることが分かった。ただし、このInts6の機能は、snRNAのプロセシングに関与していることが報告されているだけで、それ以上詳しい情報がなく、放射線影響と生体機能の関連性を推測することはできなかった。
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