研究課題
「内分泌撹乱化学物質」問題の中で、未解決のままの課題は「ビスフェノールA(BPA)の低用量効果」問題である。我々は、従来はエストロゲン受容体に結合し、作用を発現すると言われていたBPAが、エストロゲン関連受容体γ型(ERRγ)に非常に強く結合することを世界に先駆けて発見し、報告した。本研究の目的は、BPAのERRγへの結合様式はどのようか?ERRγの天然リガンドは何か?生理機能は何か?発現様式はどのようか?それらがBPAによってどのように影響を受けるのか?BPAが結合する核内受容体が他にもないか?などについて明らかにすることである。平成20年度には次のような研究成果をあげた。(1)ERRγのみならずエストロゲン受容体α型(ERα)に強く結合するビスフェノールZを発見した。(2)ERαに強く結合するビスフェノールAFを発見した。(3)ERRγとビスフェノールZの結合体の結晶化に成就し、X線結晶構造解析からその結合様式を明らかとした。(4)マウス胎児におけるERRγなど11種の自発活性化型核内受容体mRNA発現の日齢変化のリアルタイムPCR定量解析に成就した。ERRγ発現がピークに達する日齢を同定した。(5)ERRγ特異的遺伝子のうち、その発現日齢変化が一致するものの同定に成就し、これら遺伝子の解析に着手した。(6)ショウジョウバエへのビスフェノールA食餌により、多動性様および低活動量の個体群を発見した。その他特に、ビスフェノールAの影響解析において、ERRγ特異的遺伝子の発見、同定やビスフェノールA食餌による変異遺伝子の発見、同定があり、新たな研究展開の端緒を切り開いた。
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