研究課題/領域番号 |
19201014
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研究機関 | 筑波大学 |
研究代表者 |
渡邉 信 筑波大学, 大学院・生命環境科学研究科, 教授 (10132870)
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研究分担者 |
中嶋 信美 国立環境研究所, 生物圏環境研究領域, 室長 (20212087)
河地 正伸 国立環境研究所, 生物圏環境研究領域, 主任研究員 (80311322)
加藤 美砂子 お茶の水女子大学, 大学院・人間文化創成科学研究科, 准教授 (60272738)
宮下 英明 京都大学, 人間・環境学研究科, 准教授 (50323746)
白岩 善博 筑波大学, 大学院・生命環境科学研究科, 教授 (40126420)
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キーワード | Botryococcus braunii / 炭化水素 / キャクタライゼーション / 培養株多型解析 / 炭化水素合成分子機構 / 炭化水素蓄積量変動要因 / 遺伝子発現解析 / 大量発生機構解明 |
研究概要 |
Botryococcus brauniiの基本的な生物学的特性をあきらかにするため栄養塩と増殖・コロニー形成の関係及びオイル成分の分析と合成過程に関する研究を進めた。その結果、1)Botryococcusのオイルは細胞中央部で生成された後、葉緑体間隙を通って、コロニー外に露出した細胞周縁部から主に分泌されていた。2)ボトリオコッカス3株(BOT-22、144、88-2)の主要炭化水素はBOT-22:C_<34>H_<58>(トリテルペン、純度90%).BOT88-2:C_<27>H_<50>(直鎖で3個の二重結合、45%)、C_<27>H_<52>(直鎖で2個の二重結合、55%).BOT-144:C_<34>H_<58>(トリテルペン、純度96%)であり、炭化水素含量はいずれの株も乾燥藻体当り20-50%の範囲にあった。3)BOT-70株の大規模ESTを得て、オイル生合成に関わる遺伝子を抽出した。その結果、多くの生物種に共通のテルベノイド生合成経路であるメバロン酸経路の酵素遣伝子はみつからなかったが、植物および真正細菌に特異的な経路である非メバロン酸経路の11反応のうち7つの反応について、候補酵素遺伝子がみつかり、さらに、このBOT-70株に特異的に発現しているSAHハイドロラーゼ遺伝子の発現パターンは、昨年度に単離したSAMシンターゼと同様に炭化水素合成のさかんな時期にBOT-70株で高度に発現し、SI-30株での発現量は低かったことから、炭化水素のメチル化がRaceBの炭化水素合成速度を決定する可能性が示唆された。 また、ボトリオコッカスの大量培養技術開発を目指した特性解析も進め、1)白色蛍光灯光源、青(波長470nm)、緑(波長530nm)および赤(波長627nm)のLED光源をつかって、ボトリオコッカスの光合成活性と増殖速度を調べた結果、250・mol m^<-2> s^<-1>の白色光(太陽光)で培養し、夜間は緑色補助光を照射することで、ボトリオコッカスの増殖と炭化水素生産効率が最適になることが判明した。また、クエン酸鉄とグルコースの添加はボトリオコッカスの増殖を促進すること、2)昨年度と同様に沖縄県のダムにおけるボトリオコッカスの大発生は夏期の成層期に見られることを再確認できた。
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