研究課題/領域番号 |
19201018
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研究機関 | 東京農工大学 |
研究代表者 |
細見 正明 東京農工大学, 共生科学技術研究院, 教授 (90132860)
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研究分担者 |
豊田 剛己 東京農工大学, 共生科学技術研究院, 准教授 (30262893)
本林 隆 東京農工大学, 農学部付属広域都市圏フィールドサイエンス教育研究センター, 講師 (20262230)
淵野 雄二郎 東京農工大学, 共生科学技術研究院, 教授 (60015104)
西村 拓 東京大学, 農学生命科学研究科, 准教授 (40237730)
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キーワード | 飼料イネ / 循環材料生産 / 環境浄化 / 畜産 / 窒素 |
研究概要 |
本研究では、埼玉県熊谷市善ヶ島の水田において堆肥(基肥)及び畜産ふん尿からの液肥(追肥)を用いた飼料イネの栽培試験を行った。各水田区画に195〜600kg-N/haの窒素負荷量で添加し、飼料イネのバイオマス、水収支及び窒素収支を明らかにした。異なる窒素負荷による飼料イネ「はまさり」を栽培する実験では、対照系(C195)及び添加系(T450-1、T450-2、T600)を設け、アンモニア揮散及び窒素収支の解明を行った(数字は窒素負荷量(kg-N/ha)を示す)。一方、異なる飼料イネ品種(はまさり,クサホナミ,リーフスター)に対して、C195対照系及びT600添加系を設定し、バイオマス生産量や窒素収支の解明を行った。 異なる窒素負荷の実験において、アンモニアフラックスは窒素負荷の増加に従って増える傾向が見られるが、揮散した窒素量は投入した窒素の2.5%〜4%であり、既往の研究の1/4の値であったことがわかった。これは適当な浸透量(2.1cm/d)と間断灌漑によりアンモニアフラックスを抑制したと考えられる。さらに、物質移動モデル(総括物質移動係数:5×10^<-4>m/s)に基づいて計算したアンモニアフラックスは実測データと有意な相関関係であることを証明した。これより田面水アンモニウム濃度、pH、温度よりアンモニアフラックスを予測することができるようになった。一方、異なる飼料イネ品種の実験において、T600液肥添加系のリーフスターのバイオマス生産量は約1.8kg/m^2と最も多かったが、品種間や、液肥添加系、対照系の間に有意な差は見られなかった。しかし、飼料イネ品種の違いによる窒素吸収量の有意な差は見られなかったが、添加系(T600)と対照系(C195)の間で有意な差が見られた。つまり、液肥を施肥したほうが、飼料イネによる窒素吸収量は多くなる。さらに、これらの実験結果より窒素収支も明らかにした。大量な液肥を追肥として投入した場合、32〜39%の窒素が飼料イネバイオマスに吸収され、25〜6%がアンモニア揮散により放出され、2〜15%が地下への浸透、1.6〜5%が根の残渣や土壌への吸着により水田に残されたことがわかった。不明分が脱窒した分として約30〜50%が脱窒により除去されたと考えられる。
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