研究課題/領域番号 |
19201018
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研究機関 | 東京農工大学 |
研究代表者 |
細見 正明 東京農工大学, 大学院・工学研究院, 教授 (90132860)
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研究分担者 |
豊田 剛己 東京農工大学, 大学院・農学研究院, 准教授 (30262893)
本林 隆 東京農工大学, 農学部, 講師 (20262230)
淵野 雄二郎 東京農工大学, 大学院・農学研究院, 教授 (60015104)
西村 拓 東京大学, 大学院・農学生命科学研究科, 准教授 (40237730)
柏 雅之 早稲田大学, 人間科学学術院, 教授 (40204383)
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キーワード | 飼料イネ / 循環材料生産 / 環境浄化 / 畜産排水 / 窒素 |
研究概要 |
畜産排水を肥料として飼料イネを栽培することにより環境修復システムを構築する際には、水田管理が水循環にどの程度の影響を与えているかを流域レベルで評価する必要がある。霞ケ浦の桜川を研究対象流域とし、地理情報や地質データを基に地表水と地下水とを一つのモデルで表現する統合型水循環シミュレータを作成した。感度解析の結果より求まったパラメータや水田モデル、桜川流域の農業利用等利水データを流域モデルに組み込むことにより、現実の水循環の挙動を再現することが可能となった。桜川流域シミュレータに最も影響を及ぼす因子として水田モデルであり、水田は桜川流域内の水循環系に非常に大きな影響力を与えていることがわかった。 一方、飼料イネを環境材料とした循環材料生産システムを提案するために、飼料イネの生産を20年以上にわたり継続している埼玉県熊谷市妻沼地区の善ヶ島において、耕種および畜産農家に対して、聞き取りアンケート調査を行い、飼料イネの普及や継続生産に伴うシステムの構築や経済的な評価を試みた。善ヶ島においては1987年にはじめて飼料イネが生産され、そのあと、地域全体でのイネ発酵粗飼料の生産体制が確立された。耕種農家の間で協議会が設立され、酪農で組織された台牧草生産組合との間に生産利用協定が締結された。畜産農家から耕種農家へ町単事業の水田飼料作物作付拡大事業8000円/10aと、取引価格4000円/10aを渡すことにより、耕畜連携推進対策13000円/10aと合わせ、飼料イネの生産費用25000円/10aを確保している。このとき、畜産農家は乾物kgあたり19円~26円程度でイネ発酵粗飼料を生産していると試算される。この価格は、乾物kgあたり20~33円程度で推移している輸入乾草に匹敵している。従って、畜産排水などの有機性廃棄物を肥料源として、耕畜連携に基づき、飼料イネを環境材料とした循環材料生産システムの構築は社会的な意義が大きく、経済的にも実現可能と考えられる。
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