研究課題
基盤研究(A)
本研究は、飼料イネを「環境材料」として用いて、地域における循環材料の生産及び環境修復システムを構築し、適切な窒素循環を図ることを目的とする。具体的な計画として:(1)飼料イネに対する様々な窒素負荷に対する耐性やバイオマス生産量を明らかにするとともに、飼料イネによる窒素吸収量、土壌中の窒素などをはじめとした窒素収支について、ラボスケールの室内実験で明らかにする。(2)ライシメーターや埼玉県妻沼地区の実水田において様々な飼料イネを栽培し、メタン硝化液、堆肥、液肥を添加し、栽培期間を通じて飼料イネのバイオマス、水収支及び窒素収支を明らかにする。さらに、メタン放出速度やアンモニア放出速度、亜酸化窒素放出速度の評価や間隙水や浸透水中の窒素濃度の測定を行う。沖縄県石垣島では、牛ふん尿からの液肥を各水田区画に施用し、石垣島の気候特性から3期作の可能性を検討する。また、不耕起栽培による飼料イネのバイオマス生産に及ぼす影響を評価する。(3)霞ヶ浦山王川では、実験水路を用いて、水量負荷、表面流れ及び浸透流れ方式、さらにはそのハイブリッド方式による飼料イネによる水質浄化効果を明らかにする。(4)室内と現場実験で得られたデータから、飼料イネを植栽した水田における窒素挙動と収量予測モデルを作成するとともに、流域全体の水収支モデルを作成する。(5)すでに耕畜連携が実施されている埼玉県妻沼地区を対象として、耕種農家と畜産農家の連携の可能性について、聞き取りアンケート調査を実施し、飼料イネの普及に伴う経済的評価や問題点を把握する。そこで得られたデータに基づき、耕畜連携に対する考え方、経済性、将来性などについて解析する。さらに、行政的支援も含めた総合的な経済陛及び飼料イネ栽培に伴う環境負荷量を加味した実現可能な飼料イネ栽培システムを提案する。
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