研究課題/領域番号 |
19201019
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研究機関 | 独立行政法人物質・材料研究機構 |
研究代表者 |
羽田 肇 独立行政法人物質・材料研究機構, センサ材料センター, センター長 (70354420)
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研究分担者 |
大橋 直樹 独立行政法人物質・材料研究機構, 光材料センター, センター長 (60251617)
和田 芳樹 独立行政法人物質・材料研究機構, 光材料センター, 主幹研究員 (90343847)
坂口 勲 独立行政法人物質・材料研究機構, 光材料センター, 主幹研究員 (20343866)
大垣 武 独立行政法人物質・材料研究機構, センサ材料センター, 研究員 (80408731)
北島 正弘 独立行政法人物質・材料研究機構, ナノ計測センター, グループリーダー (00343830)
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キーワード | 同位体 / フォノン / 酸化物半導体 / 窒化物半導体 |
研究概要 |
フォノンや核スピンが寄与する物性を制御するために、同位元素を利用した質量数変調人工超格子について、作製プロセスの確立を主とした研究を実施した。 1.酸化物質量数変調人工超格子パルスレーザー堆積法を用いてZnO薄膜について検討した。質量数16の酸素から構成されるZnO焼結体をターゲットとし、質量数18の酸素ガスを活性化して供給することで、ZnO薄膜の酸素同位体比を制御できることを明らかにした。また、ターゲットとして利用するZnO焼結体を亜鉛の質量数64のZnOと亜鉛の質量数68のZnOから作製することで、ZnO薄膜の亜鉛同位体比を制御することにも成功した。これらのプロセスにより、ZnOの陽イオン、陰イオンの同位体比を任意に制御したZnO薄膜の作製を可能にした。 2.窒化物質量数変調人工超格子分子線エピタキシー法により、AlN,GaN,InN薄膜を検討した。質量数14の窒素と質量数15の窒素を独立に活性化して供給できるように、既設のMBE装置を改良し、質量数14から構成されるIIIb族窒化物と質量数15から構成されるIIIb族窒化物の作製に成功した。 3.分析・評価質量数の異なる同位元素を導入することによる物性の変化をXRD測定、PL測定、ラマン分光法等を用いて調査した。格子定数、バンドギャップ、格子振動に変化が確認され、作製した薄膜のフォノンに変化が生じていることを明らかにした。また、2次イオン質量分析を用いた同位元素の分析により、人工超格子や、デバイス作製の際に有益な情報となる自己拡散係数や、界面における拡散現象を調査した。 このように、同位元素を利用する新しい概念の人工超格子作製プロセスの確立に成功し、さらに、同位元素の利用によるフォノンが寄与する物性の制御が可能であることを明らかにした。
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