研究課題/領域番号 |
19201041
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研究機関 | 独立行政法人産業技術総合研究所 |
研究代表者 |
丸山 明彦 独立行政法人産業技術総合研究所, 生物機能工学研究部門, 主任研究員 (30202336)
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研究分担者 |
久留主 泰朗 国立大学法人茨城大学, 農学部, 教授 (60272118)
布施 博之 独立行政法人産業技術総合研究所, 生物機能工学研究部門, 主任研究員 (30357925)
吉岡 秀佳 独立行政法人産業技術総合研究所, 地圏資源環境研究部門, 研究員 (30415765)
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キーワード | 微生物 / 遺伝子 / メタゲノム / 機能 / 特殊環境 / 汚染環境 / IODP / インテグロン |
研究概要 |
微生物が保有するインテグロン・ジーンカセット(IGC)部位に着目し、多種多様な微生物が混在する環境微生物試料を対象とした効率的な機能遺伝子探索手法(IGCメタゲノム解析手法)として確立するための基盤整備を行う。これまで全く未解明な極限環境試料や汚染環境試料等を対象とし、このIGCシステムの普遍性や特徴、見出された機能遺伝子の特徴や生息環境との関連性、発現産物の特徴や有用性等の解明を通し、本手法の有効性や得られた結果の科学的意義、応用の可能性等について評価することを目的としている。 本年度は、複数の石油・重金属汚染沿岸環境微生物DNA試料のIGC解析結果を比較するとともに、未だ報告例のないメタンハイドレート海域試料の解析を進めた。前者については、見出されたインテグレース(Int)の多様性とその宿主と見なされる環境微生物の16S rRNA遺伝子の多様性とを相互に比較した結果、Geobacter属など一部については相互によく対応する関係にあったものの、Intの多様性は宿主微生物のそれよりかなり大きく、これまでに報告例のないIntの3大クラスターを見出した。独自に開発したPCR条件は、従来法より長く完全なインテグロンシステムを環境中から獲得する上で有効であり、当該システムの構成要素であるattI、Pc、attC等についても新しい特徴をいくつか見出した。得られたPCR産物のジーンカセット(GC)中で最も発現している可能性が高いGC第1遺伝子ORF解析では、海底堆積物試料ではじめて抗生物質プレオマイシン耐性遺伝子類縁遺伝子を見出すとともに、デハロゲネースやプラスミドキラータンパク、トランスポゼース、ヌクレアーゼ等に類縁の遺伝子を多数見出した。その他大部分のORFの機能推定は困難で、新規機能遺伝子を探索する上で本法は極めて有効と見なされた。一方、後者のメタンハイドレート層由来掘削コア試料については、はじめてとなるIGC解析では詳細確認を進めている。また、同試料でのメタン代謝酵素遺伝子の多様性や現存量についてのデータと室内培養実験.化学分析で明らかにした代謝活性データ等とを比較、対象海域の特徴を明らかにし論文化した。これまでの極限環境を対象とした解析結果を基に、IGC解析結果の総説作成に取り組んだ。
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