研究課題
新規高機能性の核酸分子を創製するために、申請者らが開発した人工塩基対による遺伝情報の拡張システムを用いた新たな進化工学の基盤技術を創出する。具体的には、複製や転写で機能する人工塩基対を種々の機能性の置換基で修飾し、この修飾人工塩基を含む核酸のライブラリーを作成することにより、ターゲットタンパク質に高い親和性で結合する核酸アプタマーを創出する汎用性の高い新たなin vitroセレクション法を開発する。本課題では、人工塩基対(Ds-Px塩基対)の開発を昨年度までに達成した。Ds-Px塩基対を組み込んだDNAは、30-40サイクルのPCRで10^8倍に増幅され、増幅後のDNA中にはDs-Px塩基対が97-99%保存される。そこで今年度は、人工塩基Pxに種々の置換基を結合し、これをPCRでDNA中に導入することにより、DNAアプタマーを作成するためのin vitroセレクション用のライブラリーの作成を進めた。さらに、ライブラリーの充実と本in vitroセレクション法を確立するために、ライブラリー作成のためのPCR増幅の条件を最適化した。これまでDs-Px塩基対が機能するDNAポリメラーゼは1種類しかなかったが、さらに良いDNAポリメラーゼも見つかり、ライブラリーの調製が容易になった。この方法を用いて、種々の機能性置換基を結合したPxを含むDNAライブラリーを作成し、現在、2種類のタンパク質をモデルにしてin vitroセレクションを実施しているところである。今年度は本基盤技術の知財を確保するために、研究発表よりも特許出願を優先した。
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