研究課題
景観スケールにおける土地利用変化と林分スケールにおける林冠の種交代のパターンをそれぞれマトリクスで表し、マルコフ連鎖モデルによって統合するモデルを構築し、シミュレーションをおこなった。種構成については、(1)では、景観全体でコナラの優占している現状からクリの優占するものに変化し、(2)でもほぼ同じ結果が得られた。一方(3)では、クリだけではなくカスミザクラの優占度も増加した。絶滅確率については、(2)の原生林保護により絶滅をまぬがれる種群があり、とくに出現頻度の低い種の絶滅確率が低下することが示された。北茨城の森林に出現する種特性のパターンを、推移確率モデルから計算される弾力性分析に基づいて九州の照葉樹林と比較した。その結果、群集を構成する種の集合メカニズムは互いにほぼ同じであり、(A)人為による撹乱によって敏感に個体群サイズを低下させる種と、逆に(B)人為撹乱がない状況下では個体群サイズが低下する種に大きく大別されることが示された。(A)のタイプが原生林保護によって絶滅確率が低下する種群であり、(B)のタイプは人為撹乱が森林景観内で卓越している状況下では、原生林をとくに保護しなくとも絶滅の確率が低い種群である。また、東北の冷温帯渓畔林についても同様に比較した結果、渓畔林を構成する種には(B)のタイプが含まれず、渓畔林には人為撹乱によって有利になる種が生育しないことが示された。以上のことから、人為撹乱の影響下にある森林景観においては、ある程度の面積で原生林を保全することが種の絶滅確率を下げるために有効であること、とくに浮畔域の保全が重要であると結論された。
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