研究課題/領域番号 |
19201050
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
能登路 雅子 東京大学, 大学院・総合文化研究科, 教授 (70164712)
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研究分担者 |
藤田 文子 津田塾大学, 学芸学部, 教授 (50147005)
HONES Sheila 東京大学, 大学院・総合文化研究科, 教授 (70206035)
吉見 俊哉 東京大学, 大学院・情報学環・学際情報学府, 教授 (40201040)
谷川 建司 早稲田大学, 政治経済学術院, 教授 (10361289)
土屋 由香 愛媛大学, 法文学部, 教授 (90263631)
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キーワード | 国際研究者交流 / アメリカ合衆国:中国:サイパン:パラオ共和国 / 文化外交 / プロパガンダ映画 / 南洋群島 / 委任統治 |
研究概要 |
主として冷戦期以降のアメリカ合衆国の文化外交を対象とする本プロジェクトの最終年度は数次の研究会において第二次大戦中の米国政府・軍部の情報管理をめぐる歴史的教訓の考察から冷戦期以降の米国の航空業の文化的側面、スターバックスを事例とする文化の越境とローカルな変容に関する問題など、多角的な検討がなされた。 さらに、昨年度実施した太平洋研究セミナーおよびサイパン調査旅行の次の段階として、パラオにおける日本委任統治時代からアメリカ管理下の時期を経て現代にいたる政治文化の変遷の研究を進めた。平成22年2月には、長期のパラオ在住経験をもつ大阪大学の三田貴氏の参加協力を得て、科研メンバーである能登路雅子、矢口祐人、梅崎透、およびミクロネシア研究者のグレッグ・ドボルザーク氏のチームによる「南太平洋における日米の文化戦略に関する調査」をパラオ共和国において実施し、政府関係者や現地古老の聞き取り調査や関連施設の視察を集中的に行なった。安全保障や経済援助とならび、周辺地域文化的影響力が交錯する実態の解明を通じて、アメリカの文化外交を相対的に捉える視点が得られたのも収穫のひとつである。 最終報告書には南洋群島に関する2年間の調査研究の成果のほかに、冷戦初期の米国政府によるプロパガンダ映画に描かれたアラスカとハワイについての分析(土屋由香)、1950年代のフォークナーの文化特使としての訪日の意味(藤田文子)、第二次大戦中から戦後にかけた政治的混乱期の中国を舞台とするアメリカ映画産業と政府の連携(谷川建司)など、個別の研究課題に関する論文も掲載される。 本プロジェクトは年度毎に扱うテーマや研究ネットワークに広がりを見せたが、今後さらに文化外交分野において解明すべき多くの課題が発見されたことも重要な成果であった。
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