研究課題/領域番号 |
19202006
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
西野 嘉章 東京大学, 総合研究博物館, 教授 (20172679)
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研究分担者 |
諏訪 元 東京大学, 総合研究博物館, 教授 (50206596)
吉田 邦夫 東京大学, 総合研究博物館, 教授 (10272527)
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キーワード | 文化財科学 / 年代測定 / 物性研究 / 製作技法 / 美術史 |
研究概要 |
本年度は、昨年度未執行のまま繰り越しとなった予算を使って、7月3日から11日にかけフランスへ赴き、調査地のエクス=安=プロヴァンス市において『燃える柴の三連祭壇画』の修復事業落成式典の準備を進めるとともに、フランス文化省主催の式典において、文化コミュニケーション省大臣代理、地域圏知事、サン=ソヴール教会大司教、駐マルセイユ日本総領事らの臨席のもと、プロヴァンス絵画研究の現状に関する概説と、修復事業における文化財科学研究の意義に関する報告を行った。また、式典に合わせて5月にアルルの出版社「アクト・シュッド」とフランス文化省地域圏文化事業局の共同名義で出版されたフランス側修復事業最終公式報告書『燃える柴の三連祭壇画』に、西野が日本側研究グループを代表して、祭壇画下絵の赤外線分析から得られた新知見(描き直しの箇所、複数の「手」の介入、『ラザロの蘇生の三連祭壇画』との比較など)に関する調査報告を寄稿した。エクスからの帰路、リヨン市に寄り、リヨン高等師範学校の学長、国際研究協力部長らと面談し、文化財科学解析の学術的意義と展示的効果についての議論を行い、協働研究の推進に向けて相互理解を深めた。また、国内では、研究分担者の吉田が東京大学総合研究博物館特別展示「Archaeometria--好個遺物と美術工芸品を科学の眼で透かし見る」を実施し、展示図録のなかで上記三連祭壇画の物性解析結果の学術成果報告を行うとともに、展示会場を使って修復後の祭壇画を写真によって原寸大復元する試みを実現し、一般に向けて公開発信した。
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