最終年度である22年度は、計10回の集会を通じて、人物像の観点から日本語のしゃべり方の調査をさらに進め、その結果を反映させた基礎資料を作成した。調音動態関連では基礎資料の一部をCD-ROM1枚にまとめて公表した。自然会話関連では、連携研究者ニック・キャンベル氏のご協力によって、基礎資料を、120分に及ぶ様々な話者の発話音声、動画、文字、発話の時間情報付きの自然会話データベース"KOBE Crest FLASH"の形でネット上に公開した(http://www.speech-data.jp/taba/kobedata/)。最後に、音声文法関連では基礎資料を、ネット上での出版社ホームページ上の連載(三省堂ワードワイズウェブ「日本語社会のぞきキャラくり」日本語版全100回完結、英語版・中国語版は第53回まで)という形で展開できた。さらに、日本語版完結の時点で、我々が発足させた研究会「日本語音声コミュニケーション教育研究会」の研究集会「日本語とキャラクタ」を開催し(2010年8月11日、於関西学院大学大阪梅田キャンパス、参加者数20名)、そこでの集中的な議論をふまえて大幅な改訂を施し、書物の形で公表した。さらに、神戸大学メディア文化研究センターと連携の上、上記研究会共催の形で研究集会「電子時代におけるコミュニケーション研究成果発表の形態」を開催し、来るべき本格的な電子社会における基礎資料のあり形について検討を重ねた。以上の資料作成のもととなった研究成果は、国内外の査読付き論文、国内外の講演や口頭発表で公表し、役割語研究で知られる金水敏氏との合同シンポジウム「役割語・発話キャラクタ研究の展開」の開催(2011年2月5日・6日、於大阪大学)によって公表した。
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