研究課題/領域番号 |
19202019
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研究機関 | 立教大学 |
研究代表者 |
弘末 雅士 立教大学, 文学部, 教授 (40208872)
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研究分担者 |
鈴木 信昭 富士大学, 人文学部, 教授 (50206512)
貴堂 嘉之 一橋大学, 社会科学研究科, 教授 (70262095)
唐澤 達之 高崎経済大学, 経済学部, 教授 (10295438)
清水 和裕 九州大学, 大学院・人文科学研究院, 准教授 (70274404)
石川 禎浩 京都大学, 人文科学研究所, 准教授 (10222978)
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キーワード | 港市 / 環シナ海世界 / 環インド洋 / 環地中海世界 / 環大西洋世界 / 環太平洋世界 / 奴隷 / 移住者 |
研究概要 |
本研究の目的は、世界の諸海域世界(環シナ海、環インド洋世界、環地中海世界、環大西洋世界、環太平洋世界)のつなぎ目となった港市において、外部世界と現地社会を仲介した奴隷・移住者・混血者が、近代移行期に広域社会秩序や地域秩序の形成にいかに関わったのか、比較検討することである。 最終年度の本年度は、計3回の研究会を持った。そのうち初回は、東南アジアと中国における奴隷について議論し、第3回目の研究会は、近代移行期における外部世界と現地社会の仲介役の変容について、地中海世界と東南アジアの事例をもとに検討した。第2回目の研究会は、この科研による4年間の研究のまとめを行い、何がどこまで明らかになったか討議した。また8月23日~9月3日に本科研メンバー8名が、地中海世界と大西洋世界とのつなぎ目となるスペイン、モロッコ、ポルトガルの港市を訪問調査した。さらに研究代表者が3月にメコン川流域の港市を訪問調査したほか、研究協力者2名がオランダ・イギリスとインドネシアにおいて、東南アジアにおけるマレー人や華人の歴史的研究のための文献調査を行った。 これらの活動から、地中海世界・イスラーム世界・東アジア・東南アジア・欧米における奴隷の歴史的展開を追跡することができた。また「奴隷」概念の歴史的変遷も明らかとなった。さらに移住者の担う広域ネットワークの形成に果たす役割とともに、移住先で少数派となる彼らが、現地社会の動向にきわめて敏感にならざるを得ず、その社会の秩序形成に関わる役割の重要性も改めて議論された。また混血者文化の歴史を比較的長く有した地域における、近代以降の男女関係をめぐる言説の展開や彼らの自己表象についても議論が深められた。その成果は、いずれ出版物としてまとめる計画が提示された。
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