研究課題/領域番号 |
19202023
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研究機関 | 東京外国語大学 |
研究代表者 |
永原 陽子 東京外国語大学, アジア・アフリカ言語文化研究所, 教授 (90172551)
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研究分担者 |
粟屋 利江 東京外国語大学, 大学院・総合国際学研究院, 教授 (00201905)
鈴木 茂 東京外国語大学, 大学院・総合国際学研究院, 教授 (10162950)
今泉 裕美子 法政大学, 国際文化学部, 教授 (30266275)
吉澤 文寿 新潟国際情報大学, 情報文化学部, 准教授 (30440457)
船田クラーセン さやか 東京外国語大学, 大学院・総合国際学研究院, 准教授 (70376812)
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キーワード | 植民地責任 / 脱植民地化 / 戦争責任 / 人道に対する罪 / 奴隷貿易 |
研究概要 |
本研究は、「植民地責任」概念を中心に据えて、西欧諸国の植民地であった地域の脱植民地化の歴史過程を植民地・宗主国の双方向的関係の中で比較史的に分析し、脱植民地化についての新しい理解を提示するとともに、歴史学における「植民地責任」研究の手法を開発し、その概念を確立することを目的としている。第3年度である2009年度は、(1)植民地体制下の大規模暴力の実態とそれをめぐる歴史認識の分析、(2)20世紀史の中での脱植民地化の諸局面についての構造的理解、とりわけ国際関係・国際体制と脱植民地化の関係にかんする分析を中心に、2回の研究会と1回の公開研究会(研究成果『「植民地責任」論-脱植民地化の比較史』の合評会)、1回の国際シンポジウム(「脱植民地化研究の最前線-植民地責任論からのアプローチ」)を開催した。これらを通じて明らかになったことは、(1)「植民地責任」論の要である「人道に対する罪」概念が、その起源を反映し、少なくともその適用実践においては植民地主義的な側面をもっており、この概念を普遍的なものにするためのアフリカ等旧植民地地域民衆の動きが「脱植民地化過程」そのものであること、(2)「植民地責任」概念の胚胎する第一次世界大戦後の植民地体制再編過程において、植民地体制が国際化し複雑になったこと、そのため「植民地責任」論も宗主国対植民地の二国間的・「帝国」論的枠組みから解き放たれる必要があること、である。なお、本研究が提唱する「植民地責任」論が、広く学界および社会に対する重要な問題提起となっていることは、本研究(およびその前身である科研研究課題)の成果である『「植民地責任」論-脱植民地化の比較史』が歴史分野での指導的な学術誌『歴史学研究』において二度にわたって書評特集の対象として取り上げられたこと、朝日新聞紙上で書評・紹介されたこと等に示されている。
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