研究課題/領域番号 |
19202026
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研究機関 | 独立行政法人国立文化財機構九州国立博 |
研究代表者 |
河野 一隆 独立行政法人国立文化財機構九州国立博物館, 学芸部企画課, 文化交流展室長 (10416555)
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研究分担者 |
赤司 善彦 独立行政法人国立文化財機構九州国立博物館, 福岡県立アジア文化交流センター, 展示課長 (00446882)
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キーワード | 装飾古墳 / デジタルアーカイブ / 彩色壁画 / 写真測量 / VR(バーチャルリアリティ) / 古墳時代 / データベース / インターネット |
研究概要 |
本年度は、福岡県に隣接する筑後川水系の大分県日田市ガランドヤ1・2号墳、菊池川水系の熊本県山鹿市小原大塚横穴墓・小原浦田横穴墓を対象としてVR画像を作成した。本研究は、人手による実測図や写真によって記録・管理されてきた装飾古墳に対して、写真測量技術を応用し、非接触によって壁画に影響を与えることなくVR画像を作成し、石室全体を客観的に記録するための方法の開発と実践の研究である。これにより、石室と壁画の記録方法が従来の実測図の作成と比べて飛躍的にスピードアップしただけでなく、壁画とカビ等の汚損や石室の崩壊などの石室内における位置関係を3次元的に記録できるようになり、装飾古墳の保存のためのデータ基盤が確立した。また、今年度は横穴墓のVR化作業にも挑戦した。横穴墓は前面が開放空間となっており、精確な形状取得や画像調整の作業にも困難が予測されたが、試行錯誤の結果、石室と変わらない程度の良好な成果を得ることができた。この方法で製作したVR画像データは、通常は内部に立ち入れない装飾古墳を博物館で展示することにも活用できる。VR画像は文化財の保存・普及に新しくかつ最適な記録手段であることを提言したい。 また、大分県別府市鬼の岩屋1・2号墳を対象として、4×5フィルムおよび6×6フィルムによる写真撮影を実施した。両古墳とも、現時点での鮮明な記録写真が無く、50枚以上の良好な文様の全体およびアップの撮影に成功し、装飾古墳の現状を記録した貴重な資料となった。 これらの成果の一部は、文化財保存修復学会・日本文化財科学会をはじめとする関連諸学会や月刊文化財などの学術誌、福岡県装飾古墳連絡協議会などの行政研究会などで発表・公開し、普及啓蒙に努めた。
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