研究概要 |
第1に,全員で,アメリカの陪審員制度,各国の裁判員制度について,制度的考察とその実態の把握文献を手がかりに行った。第2に,裁判員裁判実験班(堀田)は,日弁運の裁判員裁判実施本部裁判員裁判部会より提供してもらった日本各地で実施されている法曹三者合同模擬裁判における評議のコーパスを作成し,言語学の専門的見地から裁判参加者の言語使用の特徴を質的・量的に検討,抽出した。また豪州の陪審裁判の調査も行った。第3に,社会調杳班はアメリカの陪審の評価を中心とする刑事司法についての世論調査タイプの調査結果を分析した。第4に,社会調査班は,上記分析を踏まえて,日本の裁判員制度と刑事司法に対する,一般人を対象とする世論調査タイブの調査を行った。質問票は,前半が刑事司法に対する評価(設問は,裁判所・警察に対する信頼,刑事被告人の権利保障,厳罰主義,死刑,刑罰の目的,弁護人の評価などからなる),量刑評価(成入と少年,主観責任と客観責任など),裁判員制度にふさわしい事件,裁判員になる意欲とその障害からなる。後半は,2問の,仮想の裁判員裁判のシナリオからなり,裁判官主導か,裁判員主導かが,事実認定,法律のあてはめ,量刑のそれぞれにおいて操作された要因計画法が採用されている。さらに,調査票には,パーソナリテイ評価の部分(権威主義的パーソナリティ尺度,正当世界尺度など)とフェースシートが加えられた。調査法は層化2段階無作為抽出法で,サンプル数は1800である。2月に実査が行われ(中央調査社に委託),1150通同収された。その後,素データのデータクリーニング,SPSSデータ化と,変数名,変数ラベル,値のラベルが付けられ,基礎的なデータ(単純集計)を計算した。
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