研究課題/領域番号 |
19203001
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研究機関 | 千葉大学 |
研究代表者 |
松村 良之 千葉大学, 大学院・人文社会科学研究科, 教授 (80091502)
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研究分担者 |
白取 祐司 北海道大学, 大学院・法学研究科, 教授 (10171050)
フット D・H 東京大学, 大学院・法学政治学研究科, 教授 (10323619)
太田 勝造 東京大学, 大学院・法学政治学研究科, 教授 (40152136)
木下 麻奈子 同志社大学, 法学部, 教授 (00281171)
堀田 秀吾 明治大学, 法学部, 准教授 (70330008)
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キーワード | 基礎法学 / 刑事法学 / 裁判員 / 陪審員 / 法意識 / 刑事司法 / 量刑 / 事実認定 |
研究概要 |
第1に裁判員裁判実験班は、裁判員の評決に影響を与える諸要因を言語学や心理学の知見を援用しながら特定することに主眼をおいて研究を行った。日弁運や地方弁護士会より提供してもらった日本各地で実施されている法曹三者合同模擬裁判における評議の会話を文字化したものを蓄積することによってコーパスを作成し、コーパス言語学、語用論、説得研究、集団意思決定論といった分野の知見を利用しながら、裁判参加者の言語使用の特徴を質的・量的に検討・抽出し、そこから裁判員と裁判官の判断要因、意識、思考体系の差異なども検討した。これにより、裁判官と裁判員の間には、使用言語域、思考体系、参加態度に差異があることが明らかになった。第2に、社会調査班は、郵送調査法を用いて、弁護士の裁判員裁判と刑事司法に対する態度(一般人との比較、一般人の態度についてのメタ認知を含む。なお、一般人を対象とする調査は、2007年度に実査)、裁判員裁判についての意欲、刑事弁護の経験などを尋ねた。サンプルは東京3会からランダムサンプル1500(有効回答数722、回収率48%)、京都弁護士会悉皆452(有効回答数169、回収率37%)、北海道の札幌を除く3会悉皆130(有効回答数76、回収率58%)であり、弁講士に対する郵送調査としては非常に高い数値を得ることができた。結果は、多くの設問において、弁護士の間での態度の相違は大きく、また弁護士会による違いも非常に大きい。そして、それは、年齢、弁護士の経験年数、性別、事務所規模など事務所の態様とは関係がなく、弁護士会文化とも言うべきものが影響しているのかもしれない。また、一般人と同じ設問について比較すると、一般人の回答と弁護士の回答の差が大きいというわけではない。
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