本研究課題は、次の5つの研究項目で構成されている。(1)日本の法科大学院における臨床法学教育の実施状況を把握する。(2)国際的な臨床法学教育の展開状況を把握する。(3)司法修習との方法論上の差異を明らかにし、法曹養成の改善に資する臨床法学教育のあり方を検討する。(4)他の専門職養成、例えば医師養成との比較において、臨床方法論の効用と課題について検討する。(5)臨床法学教育の方法論を、継続的法曹教育に取り入れる形態を検討する。 (1)日本の法科大学院での臨床法学教育の実施状況については、本年4月に全国法科大学院クリニック調査結果を『臨床法学セミナー』第6号に公表した。また、模擬裁判教育の実態調査についても、全国の法科大学院を対象に調査を行い、その回答集計もほぼ終了した。(2)国際的な臨床法学教育の展開については、アメリカ法科大学院協会の研究大会や、イギリスの国際臨床法学教育ジャーナルの研究大会に研究員を派遣した。派遣研究員は帰国後に研究会で報告し、本年9月に刊行した『臨床法学セミナー』第7号において論稿を公表した。また、本年12月にはカリフォルニア大学バークレー校との共催で日米の臨床法学教育を比較するシンポジウムを開催した。(3)司法修習との比較については、月例研究会においてアンケートの項目を数度に亘り検討し、来年度にアンケートを実施するための準備を終えた。(4)他の専門職養成との比較については、医学教育者との連携のネットワークを形成し、来年度5月22日にシンポジウムを開催する準備を整えた。(5)継続的法曹教育については、司法修習の選択型修習のプログラムとして、大学における研究蓄積を活用したリーガル・カウンセリングの方法と臨床心理学の知見を結び付ける修習プログラムを研究し、弁護士会との連携のもとに具体的な成案を得る作業を行った。
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