研究分担者 |
藤原 帰一 東京大学, 大学院・法学政治学研究科, 教授 (90173484)
大串 和雄 東京大学, 大学院・法学政治学研究科, 教授 (90211101)
高原 明生 東京大学, 大学院・法学政治学研究科, 教授 (80240993)
木宮 正史 東京大学, 総合文化研究科, 教授 (30221922)
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研究概要 |
準備的会合1回,定例研究会を5回開催した。直接の研究フィールドを異にする研究者たちによる共同作業である上に,特に今年度は初年次であることにかんがみ,前提的知識および問題意識の共有に力点を置いた。ロシア,東南アジア,中国,ラテンアメリカ,韓国を主たる対象とする一連の報告をもとに,それぞれの固有の状況を踏まえつつも,それらをどのようにして比較の視座に載せるかを多面的に検討した。 研究会においては,各国ごとの政治の特徴を横に並べるだけでなく,それらをどのように比較すべきかという観点を特に重視した。例えば,ロシアにおける体制移行と中国における市場経済化の比較,「権威主義」概念のラテンアメリカにおける使われ方と韓国における使われ方の異同,東南アジアを主たる場として開発された「政府党」概念を他の地域について適用する可能性,どの地域についても叫ばれる「民主化」の具体的あり方の差異などといった問題を討論し,今後の研究の方向性を探った。また,それぞれの地域における政治学,比較政治学のあり方についても情報を交換し,政治学自体の比較という観点をも視野に取り込むことができた。 これらの作業を通して,「民主化」「市場経済」「経済発展」「グローバル化」「権威主義」等々の,通常自明視されている概念がいずれも必ずしも自明でなく,分野ごとあるいは研究者ごとに異なった理解がなされれていることが明らかとなった。そうした認識を踏まえて,今後の理論的考察のための基礎作業を進めた。これを更に発展させて,「非欧米世界発」の比較政治学へ向けての考察を深めることが次年度以降の大きな課題となる。
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