研究課題/領域番号 |
19203007
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
塩川 伸明 東京大学, 大学院・法学政治学研究科, 教授 (70126077)
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研究分担者 |
藤原 帰一 東京大学, 大学院・法学政治学研究科, 教授 (90173484)
大串 和雄 東京大学, 大学院・法学政治学研究科, 教授 (90211101)
高原 明生 東京大学, 大学院・法学政治学研究科, 教授 (80240993)
木宮 正史 東京大学, 大学院・総合文化研究科, 准教授 (30221922)
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キーワード | 民主化 / 権威主義 / 市場経済 / 経済発展 / グローバル化 / 体制移行 / 政党システム / 政府党体制 |
研究概要 |
4回の研究会を開催し、その都度、インテンシヴな討論を行なうことができた。地域としては、これまでの年度で十分取り上げられなかった中東イスラーム圏、南アジア地域、旧ユーゴスラヴィア地域、旧ソ連圏を主な題材とする報告がなされた。また、どの報告も理論的含蓄の深いものであり、それぞれネイション・ステイトの概念をめぐる歴史、経済発展と議会制民主主義の相互関係、経済体制移行と比較政治学の方法、政治制度とりわけ準大統領制の理論的再考といったテーマが地域の現実との関係で解き明かされた。 これらの報告をめぐる討論においても、フィールドを異にする研究者たちの間での意見交換を通じて、一方では、同じ概念が異なった文脈においては異なった意味を持つことが確認され、他方では、一見非常に異なった地域においても意外に共通の問題状況のあることにも注意が向けられた。 これまでの年度において主要なキーワードとなっていた「民主化」,「市場経済」「経済発展」「グローバル化」「権威主義」は引き続き今年度も重視されたが、それに加え、今年度は「ネイション・ステイト」「ナショナリズム」「議会制度」「連邦制」「エスニシティと国民統合」「(準)大統領制」といった多様な概念についても検討を加え、それを通して比較政治学の方法についての反省も重ねた。こうした作業を通じて、「非欧米世界からの比較政治学」を構築するための基礎固めはかなり進展したが、それをより精緻化しあるいは体系化する作業はなお今後の課題として残さざるを得ない。今回のプロジェクトが参加者たちの今後の研究に生かされ、新しい比較政治学への道の探究が一層進むことが期待される。
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