研究課題
本年度は、日露戦後の大韓帝国の国際的地位が日本の「保護」時代に何故、どのように「併合」に至ったかについての包括的史料収集に基づく体系的研究の初年度であった。国際政治、地域的結合、韓国社会の変化の3視点から研究が開始され、第一に史料の包括的収集と研究枠組の整理・調整がらされた。史料については、各自が役割分担に基づいて精力的に史料収集を行うとともに、代表者である森山を中心として刊行基本資料・文献の収集が行われ(全体の共通データとして)、収集先の情報収集も行われた。原田は『京城日報』のような日本に数点しかない史料を収集した。長田と浅野はアメリカに赴き、国務省や国会図書館において米国外交書を調査・収集した。森山は関西で、また堀は関東で広く史料を調査・収集した。長田と研究協力者の姜は韓国・中国で史料の調査・収集を行った。堀は朝鮮貿易データを構築した。第二に全体の研究枠組を統一し、研究計画の詳細を決定すべく、2007年7月と2008年3月と2回の研究会を開いた。この結果、各自の役割分担がより明確となり、全体計画が精緻化される展望が開けた。また、史料収集先の情報収集に基づいて収集先の検討がなされ、ロシアなどが断念されるとともに、国内と台湾の史料の活用も決定された。さらに、研究組織の再構成が決まり、日韓両国側の研究協力者も確定した。以上のように、本年度は研究の基礎条件を整えることに費やされたが、それのみにとどまらず第三に各自もこの間の研究成果を雑誌や学会等で発表し、この問題に対する諸方面の関心を高めた。この結果、2010年に日韓両国を中心として開く予定の国際シンポジウムへの関心も高まり、国内からも二、三の学会から協力の申出があった。次年度以降、研究の本格化とシンポジウムの組織化が図られる。
すべて 2008 2007
すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 3件) 学会発表 (1件) 図書 (1件)
日露戦争と東アジア世界(図書 ゆまに書房刊)
ページ: 57-76
ページ: 149-170
名古屋大学法政論集 217号
ページ: 145-170