研究課題
本年度は自治体における長期的な財政持続可能性の確保及びそのための財政システム改革の実態と課題を明らかにすることを中心に取り組んだ。具体的には、昨年度実施したアンケート調査結果を地方財政に関する各種統計データと照合し、いかなる要素が今日および将来の財政認識と対応に影響を与えているかについて、プロビット分析などを実施して検討した。財政力や産業構造など当該自治体の所在する地域特性に応じて自治体側の考え方や施策が異なることが明らかにされた。しかしながら、こうした統計分析は現状ではある時点のクロスセクション分析にとどまっているため、因果関係的な分析はできないこと、また、調査実施時点が金融に端を発した経済状況の悪化の直前であり、必ずしも現状と同じでないこと、さらには昨年には政権交代が起こり「地域主権」の自治体改革が推進されている。このような状況変化を鑑み、北海道と宮崎県という財政状況が厳しくかつ地方交付税などの政府間関係にかかる財政措置の依存が高い自治体に対して実態調査を行い、財政状況の実態と国の地方財政政策の影響度合いについてヒアリングを行った。同時に、合併の効果についても財政規模や効率性およびサービスの質の変化について調査し、財政面のみならず地域の活性化や社会的関係資本(ソーシャル・キャピタル)の観点からのインパクトについても実態把握に努めた。他方、外国の地方財政との比較については米国及び欧州等の取り組みにつき調査し、市場型とネットワーク型の行政サービス供給と財政面での公正性と効率性のバランスをどのように図っているかにつき現地の研究者と討議したほか実態調査するとともに、調査に合わせて訪問した国で開催された国際学会で成果を発表した。
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