研究課題
平成21年度は、作年度に続き、(1)庄屋日記と史料存在との関連に関する分析方法を発展させ、研究成果を内外で報告し、著作物の刊行などを行った。(2)また、住民把握の論理に関する史料体系の分析に加えて、財産把握の論理との関連で一昨年に開始した水環境のインフラストラクチャーの分析からの史料分析ならびに討議を継続し、その研究成果の一部を公開した。(3)また当該年度の研究課題としている地域把握の論理あるいは近世文書の論理に関する資料収集・整理を開始した。具体的には、第1に、これまでの研究成果を公表すべく、社会経済史学会全国大会において、当該研究プロジェクトして、「『プロト近代行政』における領民把握-近世的『発展』に関する比較史料学的アプローチ-」と題してパネルセッションを企画した。第2に、近世日本の水環境に関する歴史的研究の成果を踏まえて、ライン川等、現在の国際河川における諸問題との関連について、特に上部ライン地方の史料学的データの整理を進めた。第3に、上記とも関連して、昨年11月に、特に水環境の国際比較に関する国際研究集会を企画し、南ボヘミア大学において、当該研究プロジェクトの研究成果を発表した。また、近世南ボヘミアの史料学的特徴についての共同研究をさらに進めた。第4に、地域把握の論理に関する絵図あるいは地図に関する資料整理をすすめ、比較研究の対象として、仏独国境線に位置する上部ライン地方の地域情報に関する資料収集・整理をさらに進めた。昨年度の研究成果に基づいて、住民把握・財産把握・地域把握、さらに近世文書の論理の相互関係のダイナミズムが、例えば水環境一般ひいては災害時あるいは洪水対策というような特定の歴史事象に注目することにより、より鮮明に論点を明らかにできることが確認された。さらに、今後いろいろな機会に研究成果を公表することは地域情報研究の進展に大いに寄与できると考える。
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すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件) 学会発表 (3件)
Demographic Responses to Economic and Environmental Crises, Satomi Kurosu, Tommy Bengtsson and Cameron Campbell (ed.)
ページ: 239-251
家の存続戦略と婚姻―日本・アジア・ヨーロッパ(國方敬司・永野由起子・長谷部弘編著)
ページ: 161-178