研究課題
平成22年度は、昨年度に続き、(1)庄屋日記と史料存在との関連に関する分析方法を発展させ、研究成果を内外で報告し、著作物の刊行などを行った。(2)また、地域把握の論理との関連で一昨年に開始した水環境のインフラストラクチャーの分析に加えて、疱瘡対策などの危機管理からの史料分析ならびに討議を継続し、その研究成果の一部を公開した。(3)さらにこれまでの研究成果である住民把握の論理と財産把握の論理そして地域把握の論理さらには近世文書の論理の有機的な関係に関する資料収集・整理・分析を開始した。具体的には、第1に、これまでの研究成果の一つとして、2010年4月にベルギーのヘントで開催された第8回社会科学歴史学会において、海の村の特徴を踏まえた庖瘡対策に関して、天草高浜村および崎津村の違いに関する分析結果を発表した。この論文は近くイタリアの雑誌で公刊される。第2に、近世南ボヘミアの孤児記録簿に関する比較史料学的考察を日本人口学会で報告した。第3に、さらに特に水環境の国際比較に関して、名古屋大学で開催された国際研究集会において報告を行い、さらにバングラデシュならびにタイとの国際比較を念頭において国際研究集会を企画し、これまでの研究成果を公開した。第4に、昨年度に引き続き、最終年度として、地域把握の論理と近世文書の論理との関係を解明すべく、絵図あるいは地図に関する資料整理をすすめ、比較研究の対象として、仏独国境線に位置する上部ライン地方の地域情報さらには近代移行期における国土開発に関する資料収集・整理をさらに進めた。そのような総合的な成果の最初の報告として、河川の歴史研究に注目した場合に比較史料学的方法がどのような学術的意義を有するかという点に関する素描を行った。さらに本格的な比較史料学的な論考は今後公開していく予定である。
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Populazione a Storia
巻: (掲載確定)
Environmental History Research Project Working Paper
巻: 5 ページ: 14
The Oxford-Nagoya Environment Seminar. The Environmental Histories of Europe and Japan. Graduate School of Environmental Studies, Nagoya University. 2011/9
ページ: 43-53