近世文書の膨大な史料群はどのような全体系を有し、何が継続的に保持され、何が変化していったのか。まず、(1)選択した特定地域の史料体系の全貌を提示することを目標にする。また、特定の庄屋文書などに対象範囲を限定しつつ、さらにいくつかの地域を比較検討することによって、(2)近代移行期における地域情報の多様性と同質性の構造を明らかにし、(3)近代化の準備段階において不可欠であった地域情報の蓄積過程つまり日本独自の創発的近代を明確にすることを目標にする。またそのような近世期に形成された地域情報の基層構造が近現代経済史にどのような影響を与えてきたかについても可能な限り明らかにしたい。
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