本研究は、アメリカを中心として理論的・実践的にも発展しているプログラム評価の理論と方法論を用いて、新しく導入されつつある日本の社会福祉実践プログラムを、科学的根拠に基づく効果的なプログラムモデルとして構築するためのアプローチ法を開発・定式化し、社会福祉実践プログラムに関わる関係者間で共有することを目的としている。 そのために、高齢者福祉、児童・思春期福祉、障害者福祉、精神保健福祉領域の新しい実践プログラム開発に関わる関係者が合同の研究会を組織し、集中的な議論を重ねながら、各領域の社会福祉実践プログラムにプログラム評価の理論と方法論を適用して、それらがより効果的なプログラムに発展するためのアプローチ法を検討し、関係者間で共有する。 研究プロセスの第I~IIIステージ、すなわちI)効果的モデル構築のためのアプローチ法検討と合意形成、II)予備的プログラム評価調査の実施、III)暫定効果モデルの構築については昨年度までに研究され、それらが実施できたプログラム評価班においては、第IVステージであるIV)全国プログラム評価調査を実施した。 全国プログラム評価調査に参加する施設をプログラムごとに全国から選定し、暫定効果モデルに基づくプログラムを実施し、アウトカム評価とプロセス評価・フィデリティ評価を行った。参加施設の担当者には第IIIステージで作成した実施ガイドライン・マニュアルに基づいて研修会が開催され、プロセス評価・フィデリティ評価の施設調査も研究協力者である大学院生が施設・活動を訪問して、観察やヒヤリングに基づいて行った。 障害者福祉領域における就労移行支援事業と精神保健福祉領域における退院促進支援事業が先行して進められ、各プログラム評価のモデルケースとなっている。
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